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「ヒヨリさん、もしかしてリリーのこと考えていたでしょう」
「えっ」
「わかりますよ、当然のことです」
「う、うん。あのね、イズー」
「リリーは大丈夫ですよ本当に。さあ、準備が整ったら海へ出発しましょう。楽しみな初デートの始まりです!」
イズーは、いつも屈託なく笑う。そんな笑顔にヒヨリは好感を持っていた。
(まあ、いいか。ふふっ、誰にも内緒な秘密の……神様の執事様との恋愛がこれから本当に始まるのね)
そんな風に前向きに考えるヒヨリである。
ヒヨリは、ささっと支度をすませると荷物を手に取り部屋のドアノブに手をかけた。
「お待たせ、さあ行こうイズー」
「はい! 出発ですヒヨリさん。目指すは青い海。たくさんたくさん泳ぎましょう」
「うん!」
イズーとヒヨリは互いにどちらからともなく手を取り歩き出す。
青い空は、これでもかと強い日差しをじりじりと二人に与えていた。
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