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電車を乗り継いで最寄りの駅に到着し、しばし歩いた後。
二人が目的の海水浴場に到着すると、海と並列して生い茂る林の中からはミンミンと大きく鳴く蝉の声が出迎えてくれた。
そして眼前に広がる潮風の香る大きな海。
思わずヒヨリはつぶやく。
「うわあ……素敵! そして綺麗!」
一面の青い海原や白い砂浜がとても眩しく美しい。
もちろんここには海水浴をするために訪れた二人なのだが、景色を見るだけでもとても圧巻で夢中になっていた。
実は、ヒヨリにとって初めての海水浴だったのだが、そんな小さなことはどうでもよいと彼女は思った。
イズーとヒヨリの二人はさっそく水着に着替え海水浴を心から楽しむ。
初デートは、最高のものになりそうだった。
「足元に気をつけてくださいね、ヒヨリさん。滑りますから」
「うん」
イズーはヒヨリの手をキュッと握ってエスコートする。相変わらず、まめであった。
たぶんだが二人にとって初めての外でのデート、気を使っているのだろう。
日差しをたっぷり浴びた砂浜が、とても熱い。
「さあ、ヒヨリさんあの岩場まで競争です!」
「うん、負けないわよ!」
二人、海に飛び込み泳ぎ出す。
過ぎてゆく時間は物凄く楽しく。二人は時を忘れた。
心から初デートの海水浴を満喫し楽しんだ。
「あはは、イズー。とても気持ちいいね」
「ヒヨリさん、泳ぎ上手いですね。意外でした」
「そう? 普通だと思うけどなあ」
そんな和やかな会話をしている時だった。ふと、イズーが神妙な面持ちでヒヨリに話しかけてきた。
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