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01 夏の終わりの雨
ここは現代、日本。
酷く暑く長い夏が終わる頃。
とある週末。とある昼下がり。
また、とある平凡な小さな町の真新しい公園の一角で少女が肩を震わせながら泣いている。
悲しいことでもあるのだろう嗚咽をあげながら涙を流している。
泣くことを我慢することもせず、ただただ一心不乱に。
俯いているせいで、その表情は詳しくは見えなかったが腰まである黒髪がとても美しい。
今は乱れていたが、整えればきっととても黒髪が映える美少女だろう。
「うっく、えっく……!」
雨が突然降りだした。涙を流す少女に呼応するかのように激しい雨が。
少女は大粒の雨の中でもその場を立ち去ろうとしない。
ふと、よく見ると少女の目の前には何か──花が供えられている。綺麗な花だった。
公園には少女の他に誰一人いない。
雨に打たれて泣いている少女と、花と、そして。
そして、花の奥には土が盛られていた。
これはひょっとして、お墓だろうか。
「うう……ひっく……!」
お墓に静かに手を合わせる少女。
不躾と言われるかもしれないが、それはとても絵になっていた。
「……リリー……!」
少女の小さな口が開いて名のようなものを叫んだ。
「リリー、リリー……! 私も、そっちへ行きたい……!」
恐らく亡くなった者の名なのだろう。
雨の中、傘もささず少女は泣き崩れていた。
ずっと、だ。
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