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私は昔から古美術や伝統工芸品が好きだった。五重塔や伽藍など、昔ながらの木造建築も好き。世の経済発展や株価に左右されることのない、『継いでゆく伝統技法』が大好き。
関われるものは何でも好きだけど、とりわけ好きだったのは布地関係だった。
高校時代は織物工房でアルバイトして、草木染め体験や地機織り体験教室の下準備を手伝わせてもらっていた。藍染めに使う藍の葉は、工房の畑と観賞用のプランターで、大切に育てられていた。
藍という植物は色んな種類があるそうだけど、工房で育てられていたのは、昔ながらのトウダイクサ科の山藍だった。
石油製品の品物を否定するわけではないけれど、肌アレルギーが話題になっている今日、自然由来の品物は肌に心地いいとしみじみ思う。
文化省は、元は文部省――現在は文部科学省――の文化局と、文化財保護委員会を統合して、昭和四十三年に文化庁として発足した組織だ。
近年、文部科学省の外局から独立して、文化庁から文化省へ名称を変えた。
私は「何でも良いから一生を通して伝統文化に関わる仕事をしたい」という思いで文化省の採用試験に申し込み、無事、入省した。
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