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 現代について、少しおさらいしたい。  近年、科学技術は飛躍的に発展した。  1840年代に、紙媒体の記録を電気通信で送受信できるファクシミリが実用化された。  1960年代に、天気予報に使われる人工衛星が打ち上げられた。  1980年代に、人工衛星を使った天気予報が始まった。人工衛星を使った地図のナビゲーションシステムが販売された。ワイヤレスのポータブルテレビが販売された。電話線を用いない携帯電話が販売された。初代カミオカンデの運用が始まり、宇宙から飛来する素粒子が観測された。  1990年代に、スーパーカミオカンデの運用が始まった。量子テレポーテーションの詳細論文が発表され、実験に成功した。  2000年代に、電話とテレビと音楽再生機能のついた、インターネットに繋がる掌サイズのパーソナルコンピュータが販売された。  かつては全て、夢物語として語られていたことだ。  そして、近年、国内のとある研究所で進められていた『タイムテレポーテーション』の研究が実を結び、『時空間転移装置』というタイムマシーンが極秘裏に開発された。  『タイムテレポーテーション』は別名、『タイムトラベル』ともいう。  SF(エスエフ)、サイエンス・フィクションでお馴染みの『タイムトラベル』だ。  他にも、移動を意味する『タイプスリップ』、跳躍を意味する『タイムリープ』、小旅行を意味する『タイムトリップ』など、様々な呼び名がある。でも、あくまでミッションであって、旅行ではないため、『タイムテレポーテーション』という名称が採用されたそうだ。  世間には伏せられている極秘プロジェクトであるため、私はこの面接を経るまで全く知らなかった。  その国家機密の研究、開発、運用を担っているのが、国立研究開発法人時空間移動(じくうかんいどう)研究開発機構、英語名 Japan Time Teleportation Exploration Agency 、略称JTTXAという組織なのだそうだ。  時空間移動科学というタイムテレポーテーションに関する学術研究、時空間移動科学技術に関する基礎研究及び多元宇宙に関する基盤的研究開発並びに、時空間転移装置(タイムマシーン)等の開発、製造、運用並びにこれらに関連する業務を、多元宇宙基本法第2条の多元宇宙の平和的利用に関する基本理念にのっとり、総合的かつ計画的に行うことにより、学術研究の発展、時空間移動科学技術の水準の向上並びに多元宇宙の開発及び利用の促進を図ることを目的とする組織。  藤代さん曰く、JTTXAは各省庁から出向する国家公務員で構成されているらしい。
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