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今日中に帰らなければ、親に何を言われるか分からない…
だけど、こんなドキドキ…ちょっと経験してみたいという冒険心も無くはない。
おしゃべりの尽きない関西弁の彼は、人柄は良さそうで無理やり変な事とかはしなさそうには見えるけど、警戒は怠らないように気を付ける…
そして連れていかれるがままたどり着いたのは、偶然にも私が働くスナックの真向かいにあるビルだった。
真向かいとは言え、そのビルにどんな店舗が入ってるかなんて気にしたこともなかった私は、一応全ての看板に目を通した。
スナック、雀荘、BAR、後はよく分からない…
恐る恐るエレベーターに乗り込み目的の階に着き、目の前のお店のドアを開けると、そこにはカウンターと黒塗りのソファーがありお客さんがたくさん座っていた。
どうやらここはBARのようだ。
シャンパンタワーがあるようなホストクラブとか、いかがわしいお店じゃないと分かって少しだけ安心した。
「ただいまぁ、お客さん連れてきたでぇ」
「おかえり、あすか。いらっしゃいませ、お嬢様」
「えっ…////お、おじょぅ…」
お嬢様なんてびっくりして何も言えなかったけど、声をかけてくれた彼は自分より少し年上っぽい落ち着きを感じる清潔感のあるイケメン。
奥の小さなキッチンで何かを作ってるのか…
となると、この人が例のシェフ…かな?
「蓮、悪い。俺今手が放せないから飲み物頼むわ」
「了解っす」
カウンターの席に案内されて少し背の高い椅子に腰をかける。
見上げれば、今度はだいぶ背の高い男の子で自分より年下かな?と思わせるあどけない顔立ちなのにちょっとクールでこれまた結構なイケメンだ。
「何飲みます?」
「あ、えっと…あの、カシスオレンジで…」
「かしこまりました」
本当はカシスオレンジなんて柄じゃないのに、久々にこんなイケメンに見つめられてしまいついつい女子を出してしまった。
するとすかさず関西弁の彼が話しかけてきてくれた。
「ねね、お仕事帰りってことはこの辺で働いてるん?」
「あ、うん。すぐそこのお店で」
「そうなんや!俺、あすか!お名前教えて~」
「あすか、いきなり色々聞くなよ。はい、お待たせしました」
「すいません、ありがとうございます」
外では分からなかったけど、よく見るとこの関西弁の子も結構可愛い顔してるし…
もしやここはイケメンバーでは…!?
よくよく見れば周りのお客さんは女の子ばかりだし、これは殆どが彼らが目当てなのは一目瞭然だ。
そして暫くすると扉が開き、さっきの男の人がビニール袋をぶら下げ帰ってきた。
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