祖母の最期の場所

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祖母の最期の場所

◆祖母の最期の場所  父方の祖母は「老人ホームのような所」で亡くなりました。  若い読者の皆さんには信じられないかもしれないですが、数十年前の日本の老人ホームはそれは酷いものでした。  祖母が入っていたのは認知症専門の特別養護老人ホームです。  祖母は終末期はそこで過ごしていました。  認知症ですから、自分の置かれた場所がどうだったか、分からずに亡くなったのかもしれません。  僕が30歳くらいの時、両親にホームに連れて行ってもらいました。  その時点で僕は結婚していて、家には祖母はもう居なかったのです。  一人で実家に帰った時、父が、「おばあちゃんの見舞いに行くか?」と言ってきたので、僕は行くと答えました。  施設の場所は神戸からは遠い京都でした。  神戸や大阪にはそのような老人ホームがないのか、と父に訊いた記憶がありますが、その回答はとっくに忘れました。  その施設に広がっていた光景は生涯忘れることができません。  ホームの何が酷いかと言うと、まず匂いです。  大広間に入った瞬間、異様な匂いが鼻をつきました。
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