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「で、どうすんの? 本気で弟子入りしたいとか思ってんの?」 「したい。けど、どうやって話しかけたらええんか分からん」 「DM送ったらいいじゃん」 「なんて?」  加賀美はパッと俺のスマホを奪い取ると、素早いフリックで勝手にメッセージを打ち出した。 【はじめまして、A大学一年の山岡徹と申します。昨日はフォローバックありがとうございました。急なお願いで恐縮なのですが、僕は田舎から出てきたばかりで服も見た目もセンスがなく、悩んでいます。よろしければこんな僕にファッションを教えていただけないでしょうか。】 「なるほど」 「でも文面がカタイよなぁ。ちょっといじろう」 【ずっと憧れてました! 寺島先輩みたいに垢抜けたいですっ!】 「俺のキャラじゃねぇが」 「テメ―、人に考えてもらっといて偉そうに」 【てらしまセンパイ☆まじ羽ばたいてる☆】 「なんなら、それは!」 『そこ、うるさいですよ!』  講師に再び注意を受けて縮こまる。身を屈めて加賀美に詰め寄った。
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