深夜のコンビニ

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深夜のコンビニ

 深夜のコンビニはいろんな人が集まってくる。  早い時刻には、家に居場所がない十代の若者達。コンビニで買ったドリンクや菓子パン片手に、コンビニの駐車場で無駄に話を長引かせている。  深夜を過ぎると、客商売で愛想を絞りつくしたお姉さん達。これには二つタイプがあって、これ以上振りまく愛想なんてないとつっけんどんな態度の(ひと)もいれば、一人暗い部屋に帰る侘しさからなのか、あるいは同じ深夜勤めの共感からなのか、カウンター越しに優しい笑顔を向けてくれる(ひと)もいる。  ほかにも怪しい仕事をしているお兄さん、深夜まで残業して疲れ果てたサラリーマン、それに夜明け前にはビル清掃の仕事に出かける老人なども……。  暗闇に輝く光に集まる虫のように、夜を彷徨(さまよ)うものたちは、深夜煌々(こうこう)と明かりが灯るコンビニに集まってくるのだ──。
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