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ちょうど奈土力警部も、同じ点が気になったらしい。
「ふむ。しかし、これは『あなた』を強調するというより、むしろ消し線に見えますな」
いつのまにか現場写真を取り出して、それを確認していた。
改めて見るまでもなく、明田山探偵はしっかり覚えていた。
三文字の「あなた」を横断するように被さる二重線。確かに、打ち消し線だ。
犯人を示すために、その三文字を消す。それが被害者の意図だったのだろう。
ならば……。
この食堂におけるこれまでの会話が大きなヒントとなり、明田山探偵の頭の中で、突然ひとつの閃きが生まれた。
ポンと手を叩いてから、彼はそれを素直に告げる。
「なるほど。犯人はあなたですね?」
と、志賀維偉斗を指さすのだった
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