桜サイダー

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桜サイダー

「冗談じゃない!お金ないよ!」  行きがけのコンビニでめいっぱいお金を使ってしまった亮太が叫んだ。みんな誠司の周りに集まり、緊急会議が催された。  みんな自分の切符は買えるものの、もう1人分を負担することはできなかった。みんなの残ったお金を全部集めても、買えそうにない。  みんな押し黙ってしまった。誠司はうつむいて、半べそをかいている。足元には中身の散乱したリュックが、力なく横たわっていた。 「歩くしか、ないだろ」  正人が言った。  みんなが一斉に、正人に注目する。 「歩くって、ここから家まで?」  亮太が食ってかかる。 「ここから歩いたら、何時間かかると思ってんの?そんなの歩けるわけないじゃん!誠司だけ歩けばいいんだよ!俺たちは電車で帰ろうよ!」  もの凄い形相で、亮太は正人に進言した。正人はちらりと亮太を見たが、すぐに視線を戻し、ぼそりと言った。 「俺は誠司と歩く。みんなは自由にすればいい」  そう言うと、床に置かれたリュックを持ち上げ、誠司の前に差し出した。
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