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僕は今、歩いている。線路の横に沿った道を、自宅方向に向かって。
あの騒動の後、誠司と正人と僕は歩いて帰ることにした。亮太は残りの2人、綾斗と彰人を連れて電車で帰ってしまった。
「まぁ、しょうがねぇよ。ミスは誰にでもある」
正人はそう言って誠司を励ました。誠司はひとつ頷くだけで、リュックの肩ベルトに両手を掛け、とぼとぼと歩いていた。
正直、僕はどうしてよいか分からなかった。でも、何となく誠司と正人を残してはいけない気がした。
しかし、いったい何時にたどり着くのだろう?こんな距離、歩いたことなんてない。道もあまりよく分からない。
とにかく不安だった。誠司の悲痛な表情が、不安を更に助長していた。
正人は切り替えが早いのだろう。それに運動もできるので、歩くのもあまり苦にならないみたいだ。「これも冒険!」とか言いながら、先頭を歩いている。
僕らは正人の背中を追いかけながら、道をひたすらに進んだ。そんな僕らの横を、電車が猛スピードで追い抜いて行った。
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