桜サイダー

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 1時間ほど歩いただろうか?足裏が痛い。  初めはよく声をかけていた正人も次第に口数が減り、僕たちはただひたすらに、黙々と足を動かした。  遠い。果てしなく遠く感じる。  誠司もきっと足が痛いに違いない。しかし、弱音を吐くことはなかった。僕らに対する申し訳なさ、自責の念がそうさせているのだろう。  疲れた。でも、歩くしかない。  機械的に足を動かしていると、僕の前を進む誠司が突然足を止めた。前を見ると、誠司の前を進んでいた正人も足を止め、右方向を眺めている。  自然と僕らも、正人の視線の先に目を向ける。 「わぁ……」  河川敷に連なる桜並木。満開の桜が何十本も、規則正しく並んでいた。どの桜も、その優美を競うように桃色の花を惜しむことなく開花させていた。  桜の麓には黄色の菜の花が、満開の桜を讃えるように一面に咲いていた。  言葉を失う。  そんなことって、本当にあるんだ。
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