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10
気が付けば彼は立派な魔王として世界を征服していた――のは夢の世界。そんなペペは朝方の稲光で目を覚ました。
「……あれ? もう朝?」
まだ眠り足りない目を擦りながら体を起こす。
「おはようございます。ペペ様」
「うん。おはよう」
掛けられた声に返事をしながら大きく伸びをするペペだったが、例え寝惚けていてもおかしいと分かる状況に思わず手を止め声のした方へ視線をやる。もう城内には誰一人残っていないはず。
だがそこには確かに二人の人間のような――どこか見覚えのある人物が立っていた。
優しい微笑みを浮かべる女性とクールな無表情の男性。目覚めるとベッド傍に立っていた謎の人物にペペが少なからず警戒心を抱いたのは至って自然なことであった。だが同時にそれが大きなものではなかったのは、不思議と二人から危険を感じなかったからだった。
「誰? ――いや、待って。……もしかして会ったことある?」
二人の顔や姿を見ていると、端の方でひっそり縮こまっていた見覚えが段々とその存在感を大きくしていった。それを感じながら喉まで上がってきた分かりそうで分からないもどかしさをどうにか出そうと二人をじっと見つめるペペ。
するとまるで電球が点くように、脳裏へ浮かんだ二つの名前。
「もしかして……。ルシフェルとアルバニア?」
浮かんだ名前を口にしたもののそこに自信は無い。それ程までに自分でも自分の見覚えの正体が信じられなかった。
「はい。この姿でお会いするのは初めてですね。ヌバラディール・ペペ様」
そんなぺぺに対しアルバニアは依然と優しさ溢れる笑みを浮かべ丁寧に頭を下げた。
「え? えっ? でも君らって人形だったよね? それが何で? どうゆうこと?」
だがペペは昨日まで確かに人形だったはずの二人が今日になって突然、命を宿したことが信じられずにいた。
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