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「それを説明させて頂いてもいいのですが、少々時間がかかってしまいます。ですので今は先に……」  そう言うとアルバニアとルシフェルはその場で跪いた。 「魔王ヌバラディール・ペペ様。どうか私共をあなた様の僕とし付き添うことをお許し下さい」  突然の申し出にペペは思わずベッドから立ち上がる。その間もペペからの言葉を待ち、二人はずっと跪いたたまま。  そんな二人を見下ろしながらペペは一旦、頭の整理を始めた。 「(人形だったはずの二人が動いて喋ってる? どういうこと? もしかしてばあちゃんがあんなこと言ってたのってこれのこと? いや、でも今は魔王としてちゃんと返事をしないと)」  魔王として堂々とした言葉を返そうと思ったペペだったが、ふと脳裏に先日のベルゼールの言葉が過った。 『正直あんたの手下はつまらなかったぜ。じゃあなぺぺ』  手下を全て失った自分。それが一瞬にしてペペの魔王としての自信すらも奪い去ってしまった。 「ちょっと考えてからでいいかな? それに頭も整理したいし」  それだけを言い残すとペペは二人が顔を上げる前に寝室を後にした。ドアの閉まる音が鳴り響いてから二人の顔は上がり、同時に視線をドアの方へ。  その後、立ち上がったルシフェルは無言のままドアへと歩き出した。 「どこに行くの?」  アルバニアの声に立ち止まったルシフェルは顔だけで振り向いた。 「すべきことだ」  そう言い残しルシフェルは寝室を出て行き、少し遅れてアルバニアも部屋の外へ。
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