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14
左手に刀を握ったルシフェル。その前には、王座に深く腰掛けるクラガンと壁のように列を成し並ぶ鎧の騎士の姿。だがそこには飛行型や犬型など色々な魔物の姿も混じっていた。
「あ? 何だてめぇは?」
「コイツがこの星の勇者か」
クラガンの敵意丸出しの問いかけを無視しルシフェルは一人呟く。
「フッ。まぁいい。お前のようなバカの為にわざわざ魔術の類で飛んでこれるようにしてんだ。だが俺様は今日、気分がいい。お前が……」
「俺はお前とお喋りをしに来たわけじゃない」
ルシフェルはクラガンの言葉を遮ると刀を抜いた。その行動に手前の兵士は身構える。だがルシフェルは足元に横線を引くと刀を鞘に戻した。
「だが戦いに来たわけでもない。この線を越えなければ手出しはしない」
「なら何しにここに来たんだ?」
「この世界の勇者がどんなものか見ておこうと思っただけだが――大したことはなさそうだな」
「ほぅ。なら試してみるか?」
口には笑みを浮かべていたがクラガンだったが、その目は殺意に満ちたものだった。
だがルシフェルもそれに負けず劣らずの鋭い眼光を向けいる。
「――それは俺の役目じゃない。お前を殺るのはペペ様だ。お前如きでは勝つことは出来んだろうが、精々退屈がないよう精々励め」
「おい貴様!」
すると並んだ騎士の一人が声を上げながら前へと足を踏み出し始める。頭から足の先まで鎧に包まれたその騎士は床に付けられた一本線を挟みルシフェルと向かい合った。
「先程から聞いていればクラガン様に対してなんだその口の利き方は!」
騎士は怒りを露わにしながら更にもう一歩踏み出す。
「何者だか知らんがこの状況で調子に――」
だが彼が一線を越えたその瞬間。常人の目では到底捉えることの出来ない速度で刀を抜いたルシフェルが一閃。ほぼ同時に騎士の首が宙を舞う。それにこの場全員の視線が集まる頃には既に抜かれた刀は鞘へと納められていた。
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