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そして血を噴水のように吹き出し倒れる体を他所に兜を被ったままの頭はクルクルと回転しながら後方の騎士らの方へ。放物線を描き飛んできたそれを反射的に両手で受け取った騎士の一人は、自分の両手に納まるそれが仲間の頭だと分かると「ひっ!」と小さく声を上げた。同時に腰を抜かす様に数歩退き、持っていた頭部を再び宙へと放り投げる。ラリーでもするかのように頭部は自分の体の傍へと鉄の重く鈍い音を立てて落ちた。
「それとペペ様を裏切ったクソ共は次会うまでに死んでおけ。じゃなきゃ殺す。それか今この線を越えてこい。すぐ報いを受けさせてやる」
「言いたいことはそれだけか?」
依然と突き刺すような眼光を向けたクラガンは表情とは裏腹に穏やかな口調で尋ねた。
「これからペペ様の征服が始まる。裏切者と歯向かう者に容赦はしない。それ以外はただ平伏せ。それだけだ」
「宣戦布告ってやつか。おもしれぇ。その征服やらがどれほどのものか楽しみだな。だがその前に……」
言葉を止めたクラガンは嫌な笑みを浮かべてみせた。
「殺せ」
クラガンのその一言に騎士は一斉に剣を抜く。そして最初の一人を皮切りに魔物を含めた騎士らが一斉にルシフェルへと走り出した。
すぐに刀は抜かず、慌てることも無く、ただ向かってくる騎士と魔物へ目を向けるルシフェル。
だが先頭の騎士が一線を越えた瞬間、刀を抜き素振りをするような一刀でその騎士を斬り捨てた。
それからほんの十数秒後。クラガンの前に広がった光景は、血塗れの床とその中に立つルシフェル。そんな彼の周りに転がるのは騎士と魔物の屍。だがその屍は一体残らず線の内側、ルシフェル側に転がっていた。そして華麗に血振りをした刀を鞘に納めたルシフェルは何も言わず青黒い魔力に包まれその場から消え去った。
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