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「で? 結局お前は何しに来たわけ?」
「貴様は勇者なのだろ? 本来なら我輩を倒し世界を救うのが目的のはず。それが……。何をしてる?」
「何って……」
今にも笑い出しそうなクラガンは、軽く両手を広げて見せた。
「この世界を俺様のモンにしようとしてんだよ。美味いもん食いまくって気に入ったのは俺様の女にして、気に入らねーやつは殺すし適当に遊んで暮らす。それが俺様の目的だ」
「(いや、発想が魔王やん! 魔王の僕が言うのもあれだけど……自分さえ良ければ全て良しっていう習ったのと同じ魔王の発想なんよ)」
「そういやお前も世界征服を狙ってるって話だったな。――どうだ? 俺様と世界を盗らねーか? 何なら右腕でもなんでも地位はくれてやるぜ?」
「(勇者に世界征服の誘いを受けるって多分、魔王史上初でしょ)我輩が貴様と……。フッ、断る」
「そうか。なささっさと消えろ。俺様は忙しいんだ」
どうでもいいと言わんばかりのあっさりとした返しをしたクラガンは踊り子の方を向きまた果物をひとつ食べさせてもらう。その姿にペペは言いかけた言葉を喉で止めるとそのまま姿を消した。
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