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さてと?
賑わう週末が過ぎた。桜が咲いているこの時期
だけは、月曜日の通勤も楽しみになる。
満開になった花びらが、まるでこぼれるように
舞い散る中を、スーツと革靴で歩く。
「もうあのボールも誰かが持って行ったろう。
気がかりなく桜を楽しめるな。」
緑色が混じり、力強さの加わった桜の木を
見上げ大きく息を吸う。気持ちがいい朝だ。
道の両側には散り積もった花びらが、風に
寄せられて、こんもりとしている。
茶色とピンク色が混じった山のひとつに、
ふと目をやる。
「‥ボールだ。」
置いた場所に、桜の根元に、そのままあった。
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