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その灯火を見つめていると、なんと不思議なことに、骨付きのチキンが浮かび上がってきた。少年がもうずっと食べていない、手羽元の照り焼きだ。骨には銀色のアルミが巻かれていて、いかにもクリスマスといった雰囲気が醸し出されている。
よく見ると、それは食卓の上にある。白いテーブルクロスのかけられた食卓だ。蝋燭で照らされて、とてもおだやかな食卓だ。
そのまま視線を周りへ向けると、そこには白くあたたかなシチューがあった。ブロッコリー、にんじん、じゃがいも、彩豊かな食材がくつくつと煮込まれた、とろけそうなホワイトシチュー。
さらにその奥には、ホールのケーキがあった。真っ赤ないちごの乗った白いショートケーキだ。滑らかなクリームは、どれほど甘いのだろう。チョコレートのプレートには「メリークリスマス」とホワイトチョコレートで書いてある。
こんなクリスマスが過ごせたら、僕は、飛び上がるほど喜ぶだろう。
ふと、手元に目を向ける。マッチの火が消えかかっていた。
消えないで!
アルベールは急いで二つ目のマッチを点ける。シュッと音がして、明かりが灯る。
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