適切な人事~新しい展開へ

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 「権力志向のある人だったってことね。  私もトップになりたいとは思ってるけど、一番になりたいだけで、権力に興味はないから理解できないわ」  「知ってる。  和香がエラくなりたいのは、理想の会社を作るためでしょ?」  大翔の言葉に赤くなる。  理想は確かに彼が言ったとおりだが、その目的のために所属した派閥では、権力闘争に巻き込まれただけだった。  理想の会社など一気に作れるわけなどなく、少しずつ変えていくしかない。  派閥活動に熱心だった頃、花野と幸子(さちこ)に言われたように……  「それは……ともかく、花野はある程度(ゆる)してくれたけど、崎本(さきもと)くんは難しいわね。  笹田(ささだ)さんに謝罪するかどうかの話題は出なかったから。  悪いと思うなら近づくな、ということでしょうね」  円佳(まどか)は、加害者の瑛都(えいと)にも謝罪を求めなかった女性。幸子たちの謝罪も必要としていないはず。  もっとも、本心から反省しているわけでない瑛都の謝罪など、無意味だから求めなかったのだろうが……
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