理不尽な人事~意外な決着

4/22

157人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
 和香でも知るくらい、結婚中の恭貴(やすき)は、妻を大切にしていた。  「それと、崎本(さきもと)くんが今でも独身とは言ってないわよね」  「……私は言ってない。でも、知ってたわ。  多分、同期の子が教えてるんでしょうね」  不倫をした二人のせいで、あの年代の繋がりは完全になくなった。  本社に残ったのは被害者だが、周りを凍らせるほど冷たいという悪評が広がった。  同情はあっても近づきたくはないだろう。  だが、女性同士の繋がりは分からない。彼女に同情する人間がいても驚かない。  三橋(みつはし)瑛都(えいと)に振り回された、と考えれば同情する気持ちは分かる。  恭貴が独身であることを知り、それを幸子に言うということは、彼女は別れた夫の動向を気にしている。  それは、復縁希望を想像させた。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

157人が本棚に入れています
本棚に追加