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「緊急なのは分かるから、経験者を入れたいと思うのは当然でしょうね」
和香の言葉に、幸子が当然というような表情になって、花野が不穏当な視線を向けてきた。
だが、和香は花野に習ったのだ。
説得するためには、まず相手の意見に同意する必要があると。
弁護業務にも役立つと、和香はきちんと覚えていた。
「でも、騒動に対して謝罪してないと聞いてるわ。
さすがに、反省しない人間が何をするか分からないのは承知できてる？」
言葉につまった幸子に対して、花野は微かに安堵の表情を浮かべた。
少なくとも、自分の意見がわがままでないと認められたからだろう。
「あの時はごめんなさい、ならいいわ。
当然だから。
でも、今はどちらも独身ということだけを言ってくるってことは、反省どころか、呆れた考えを持ってる危険があるということよね。
そうなった時の対処は大丈夫？」
今度は返す言葉もないようだ。完全に沈黙している。
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