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そんな彼女に溜息が出る。
緊急事態、ということだけを強調するということは、他の問題点を見ないふりをするのでは、と思わせる。
だが、自分勝手な人間に常識を求めても無駄というものだ。
しかも、止める方法がない。
何か起こっても、形の上では独身の男女の問題になるから、会社に介入できる余地はない。
それでも、立石桃香が崎本恭貴に近づけば、対処しないわけにはいかない。
渋い表情で幸子は頷いてきた。
「……分かった。
問題が起こったら、私の権限で対処するから」
「その時は、私も立ち会わせてもらう。いいでしょう?」
花野の勝気な口調に、幸子は渋い表情のまま頷いた。
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