夢が綻ぶ 番外編 女王の諍（いさか）い

Ｃｈｉｃｋｅｎｓ ｈｏｍｅ ｔｏ ｒｏｏｔｓ（鳥が止まり木に帰ってくる）

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　幸子と会った半月後に株主総会は行われて、奥山前社長の顧問復帰が承認された。

　現職の時から株主たちから高評価を受けていた人物。しかも、霧山商事の推薦。

　反対が出るわけがない。

　満場一致で承認されている。

　顧問ということで代表権は有していないが、この就任が森川社長の行動を制限するものであるのは確かだ。

　不本意かもしれないが、権力ゲームを、するつもりのない者に仕掛けた代償だから仕方ない。

　直後、人事会議が開催されて、幸子は覚悟の表情で発言してきた。

　「……今年度下半期の人事異動なんですけど……四国支社の加藤主任の本社への復帰を考えています。
　彼なら、ＭＶブランドの新展開に大きく貢献してくれるでしょう。
　本人も本社での業務を強く望んでますから、期待以上の業績を上げてくれると確信しています」

　高揚(こうよう)の雰囲気のまったくない発言だったが、全支社トップの営業の本社復帰。聞く部長たちや花野から驚きの空気が伝わってきた。