Chickens home to roots(鳥が止まり木に帰ってくる)

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 ***  人事異動の概略(がいりゃく)が決定した頃、和香は、花野と幸子を、霧山商事の近くのミスト・カフェに誘った。  三人はきちんと話す必要がある。  そして、他の人間に見られないようにという用心を兼ねて、この店を選んだ。  「お疲れさま。  順調に引継ぎが進んでるようで良かったわ」  和香の挨拶に、花野が笑みを見せてきた。  「ええ。  いずれ課長と考えてたから、ちょうど良かったの」  花野が北関東営業所の所長に抜擢(ばってき)したのは、大翔の同期の男性だ。  彼は順調に業績を上げているが、本社の課長は二人。なので、支社に部長待遇で転勤させるか、もう少し待ってもらうか、花野は迷っていたそうだ。  そんな時に、前常務派の二人が動くことになった。  空席になる所長への就任を、花野が彼に打診すると即座に快諾(かいだく)をもらったらしい。
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