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長距離になるが通勤できないわけではないので、単身赴任にならなくて良かったと、同期会の時に大翔たちに言ったそうだ。
花野が席に座ったタイミングで、幸子がおそるおそるという雰囲気で入ってきた。
「誘ってくれて、ありがとう。すごく感謝してる」
言いながら、花野の向かい側に座った。二人は、会社以外で久しぶりに顔を合わせている。
「……森川さん、これからは、経理のこれからを話し合うような集まりにしたいって。
もう、あんな行動は二度と取らないと言ってるわ」
聞いた花野が軽く息をついた。
問題が起こる前に気づいてほしかっただろう。気持ちは分かる。三年前は和香に対して思ったはずだ……
「集まりでどんな話をするかは参加する人の自由だから、何も言う気はないわ。
ただ、処分を受けた社員でも、事情はそれぞれ違うから、それはもっと考えてほしかった」
幸子は俯きながら頷いた。
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