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「本当にごめんなさい。
成績が良かったから、まさか、ああまで非常識とは思わなかった」
営業成績と人間性は、必ずしも一致するわけではない。
表面上の愛想の良さで乗りきる営業職も存在するだろう。瑛都は、つまりそんな人間だったわけだ。
「私に謝ってもらっても……何か迷惑を受けたわけでないから。
三橋くんの営業停止で大変だったのは営業二課の社員たちだから、人事考査に入れてあげて」
花野の言葉を幸子は了承した。
「分かった。賞与の査定に回しておく。
……すごく反省してる。売り上げでなくて面倒を増やしてしまって」
俯いたままの幸子を見て、花野は困ったように溜息をついた。
「さっきも言ったけど、私に謝る必要はないわ。
でも、謝罪よりもこれからの行動で反省を表したほうが、崎本くんは納得するでしょうね。
三橋主任が、このまま仕事に専念してくれるなら、今すぐの転勤を求めない。
とりあえず、静観させてもらう」
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