適切な人事~新しい展開へ

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 ***  大翔が本当に参加した集まりに来たのは、幸子だけでなかった。彼女の横には駿(しゅん)がいる。  さすがに、妻のことは心配だろう。  敵のただなか……ではないが、決して好意的に見ていない人間たちの集まりだから、自分も見学することで、少しでも雰囲気を(やわ)らげたいのだと思う。  実際、義隆(よしたか)はとまどっているし、花野も少し困惑した表情だ。  「たまには俺も、こういう集まりで勉強したいと思ったんです。  大翔くんの仕事の話なら、いつ聞いても面白いですから」  派閥活動にまったく関わってない二人の男性の存在に、他の出席たちもとまどっている。  特に恭貴(やすき)の表情は、かなり複雑なものだ。  自分の怒りが、先輩の出席の理由と知るからだろう。  今回の件に関して、駿はまったく無関係なので、恭貴も冷たい怒りを向けることはできない。  そんな彼を微笑ましそうに見ながら、大翔は立ちあがると軽く頭を下げた。  「デザイン課のチーフデザイナーの三谷大翔です。  今日は、デザインと原価管理について、少しお話をしたいと思ってます……」
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