適切な人事~新しい展開へ

7/11
前へ
/92ページ
次へ
 ただ、制約があるから、新しいアイディアが出たりする。  予算内で企画案を完成して採用されると、達成感がものすごい。それは、企画部で働く特権だと感じるくらいだ。  だが、きっと、どの部署も達成感を(おぼ)える瞬間はあるのだろう。  経理部なら、なんだろうと思いながら、和香は駿の言葉を聞き続けた。  「これからは高級路線だから、もう少し原価率について考えないとならないね。  さすがに、全部の希望を通すのは難しいと思うけど、MVブランドの未来のためだって会議で言うよ」  駿の言葉を最後まで聞いた大翔が、ホッとした表情だ。  ある程度挑戦的なデザインの提案が可能になるかもしれない。  本人もデザイナーだ。  予算の増額があれば、難しいと思っていたアイディアが形になる。嬉しいだろう。  そして、経理とデザイナーの間で意思の疎通が順調になれば、今まで以上にMVブランドを発展させることができる。  そう思うと、未来が明るく見えた。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

158人が本棚に入れています
本棚に追加