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ただ、制約があるから、新しいアイディアが出たりする。
予算内で企画案を完成して採用されると、達成感がものすごい。それは、企画部で働く特権だと感じるくらいだ。
だが、きっと、どの部署も達成感を覚える瞬間はあるのだろう。
経理部なら、なんだろうと思いながら、和香は駿の言葉を聞き続けた。
「これからは高級路線だから、もう少し原価率について考えないとならないね。
さすがに、全部の希望を通すのは難しいと思うけど、MVブランドの未来のためだって会議で言うよ」
駿の言葉を最後まで聞いた大翔が、ホッとした表情だ。
ある程度挑戦的なデザインの提案が可能になるかもしれない。
本人もデザイナーだ。
予算の増額があれば、難しいと思っていたアイディアが形になる。嬉しいだろう。
そして、経理とデザイナーの間で意思の疎通が順調になれば、今まで以上にMVブランドを発展させることができる。
そう思うと、未来が明るく見えた。
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