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花野にはそこまで丁寧な挨拶をしたのと比べて、同じ常務派だった和香には社員食堂で会った時に簡単な着任の挨拶をしてきただけ。
彼には直接的に迷惑を受けたから微妙な気持ちになったが、不満を言うほどでもない。他の社員に対する程度の態度で返した。
宮木前常務を信じていたとはいっても、確認もしないで了承したのは、間違いなく和香の落ち度だ。
そして、彼は、自分の行いに対する処罰を受けた。
なので、圭輔だけを責められない。
それに花野に忠誠を誓うなら、営業部はさらに売上を伸ばすだろう。
考えれば、宮木前常務に心酔して派閥に加わった人間。尊敬する人間に、素直についていくタイプらしい。
そう思うと、以前よりも人間味が感じられる気がした。
営業部での挨拶の時、プライドが透けていたとも、花野は教えてくれた。
〝MVブランドを買うなら加藤に、と言われるような営業を目指してます〟
聞いた時、和香は思わず笑っていた。
瑛都とは違う意味でトップになりたいらしい。
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