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第一話 オン・ザ・ベッド
深い眠りの底に光がさす。
意識が目覚めると同時に、見ていた夢も遠ざかっていく。
かすかに聞こえる足音。きしむ床板。
ゆっくりと、時折思い出したように速く。
まばらなテンポで、しかし確実に近づいてくる。
ラピア・ティクゥはうっすら目を開けると、暗い室内の気配をさぐる。
温かい寝床の中から手を伸ばし、丸メガネをかける。その端正な顔は、暗がりでうっすら浮き立つほど白い。寝起きのせいかいつにも増して。
チラと机の上にあるはずのランプに意識を向ける。だがすぐ思い直し、右手の手のひらを正面に差し出した。
「リヒト」
そうささやくと、手のひらの前に青白い光がぼんやり灯った。鍵をかけた扉の様子が浮かび上がる。階段を上がってくる足音に意識を集中させた。
扉の前で足音が止まる--。
ドアノブのあたりが黄色く光り出す。
(斥候魔法……)
鍵の外れる音がした。
ラピアは手のひらの光を消し、闇に姿をくらます。
その瞬間、背後から急に腕がからんで引き倒される。
(うおっ!)
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