Ⅰ.ありがとう

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泣いて泣いて、涙が枯れるくらいに泣いた。 あなたと離れてから半年、ようやくあなたとの思い出を、普通の顔して記憶から引き出せるようになったと思う。 写真や、SNSは、消せてない。 消してしまおうと思った。何度も試した。 でも、私にはあなたを消すことは出来なかった。 今の携帯は便利なもので、非表示フォルダがあったからそこに全てしまいこんだ。ふとした時に視界に入れてしまわないように。 SNSもそうした。ブロックしようと迷ったけれど、万が一あなたから連絡が来たらと思うとそんなことは出来なかった。 そんな可能性は、ないのに。 結局、私はあなたをずっと好きなままでいるんだと思う。 あなたのことを記憶から消そうとするのは、やめた。 悪足掻きだと気づいてしまったから。 あなたを失って、あなたのおかげで少しだけ前向きになった自分の性格だけが残るのは嫌で、全てなかったことにしてしまいたかった。 あなたとの記憶が消えたところで、私はもうあなたを知る前の私には戻れない。 だから、諦めた。 失恋に一番効く薬は時間だと言う。 私の中からあなたは消えない。 思い出は全て残っているし、なかったことにはできない。 それならば、一番楽な仕舞い方が良い。 無理して忘れることも、消すこともしないで、ただ時が経つのを待つ事にした。 もしまた、あなたと会う事があるとしたら、 なにかの偶然で、話す事ができるとしたら、 私にとってのあなたは、確かに私の運命だって、 嫌な私の部分を消してくれたあなたは、私の神様みたいな人だって、 あなたのおかげで私はまた少しだけ前を向けているよって、 あなたに、ありったけの感謝の言葉を伝えたい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーFin. 次ページ、作者のあとがきです。
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