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いつもの公園。
いつもの場所。
そこは
アタシの場所なのに。
誰か座ってる。
「あの、ここ、いいかな?」
─ あぁ、どうぞ
よかった。
すんなり横にずれてくれた。
春だから公園に人が増えた。
何か嫌だな。
桜が咲いているからか。
名所ってほどでもないのに。
たった一本、あるだけなのに。
その一本のぐるりを、円で囲むように
茣蓙を敷いた人達が、各々に楽しそうに
何か食べたり、お酒を飲んだり、
はしゃいでる。
「貴方はあそこにいかないの? 」
隣の彼に聞いてみる。
返事はない。
桜の下から、誰かがこちらに向かって声を掛ける。
「おーい、飯田くん! 酒が足りないわ、買ってきてくんない? 」
隣の彼は無表情に立ち上がる。
あぁ、彼らはこの人に言ったのか。
彼は、無言で公園を出て行く。
お酒、買いに行くんだ。
近くにあった酒屋さんは去年潰れた。
近くのコンビニと言っても、歩けば片道十分は掛かるのに。
桜の下では、そんな事は気にも留めない人達が楽しそう。
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