花咲かす人

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あーあ、 みんなどっか行っちゃった。 ま、いっか。 元々アタシ、独りが好きなんだし。 そっか、 今まだ独りじゃないんだ。 「ねえ、飯田くん? 」 貴方はどうなの? 貴方も、死にたいんでしょ? 死にたいって顔に書いてあるよ? いいよ、アタシ、見ててあげる。 何だったら手伝おうか? ─ そっか まだだよね? 貴方はこれから、まだまだ、 もっともっと綺麗な花を 咲かせられる人だもんね。 でもさ、 その時が来たらきっと呼んでね。 手伝ってあげるから。 見ててあげるから。 「飯田くんは、 桜、好き? 」 ─ うん、好きだよ。綺麗だから 「そっか」 確かに綺麗だよね、桜。 この下に死体が埋まってるって考えたら ゾクゾクするよね、ホント。 どんな人が、 何人くらい 埋められてるんだろう? ねえ? どう思う? 飯田くん? きっと、取るに足らない人達が何人も、何人も、埋められてるに違いないよ。 名前のない人達がいっぱい埋まってるんだ。 きっとね、 立派な人は立派なお墓に入るから。 名前のある人達は。 近田くん達は要領いいから、 大きなお墓に入るかもしれないね。 でも、 どんな立派なお墓も、 ただの字の書かれた石だから。 人を幸せにはできないんだよ。 いつかは忘れられちゃうんだ。
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