2人が本棚に入れています
本棚に追加
あーあ、
みんなどっか行っちゃった。
ま、いっか。
元々アタシ、独りが好きなんだし。
そっか、
今まだ独りじゃないんだ。
「ねえ、飯田くん? 」
貴方はどうなの?
貴方も、死にたいんでしょ?
死にたいって顔に書いてあるよ?
いいよ、アタシ、見ててあげる。
何だったら手伝おうか?
─ そっか
まだだよね?
貴方はこれから、まだまだ、
もっともっと綺麗な花を
咲かせられる人だもんね。
でもさ、
その時が来たらきっと呼んでね。
手伝ってあげるから。
見ててあげるから。
「飯田くんは、 桜、好き? 」
─ うん、好きだよ。綺麗だから
「そっか」
確かに綺麗だよね、桜。
この下に死体が埋まってるって考えたら
ゾクゾクするよね、ホント。
どんな人が、
何人くらい
埋められてるんだろう?
ねえ?
どう思う? 飯田くん?
きっと、取るに足らない人達が何人も、何人も、埋められてるに違いないよ。
名前のない人達がいっぱい埋まってるんだ。
きっとね、
立派な人は立派なお墓に入るから。
名前のある人達は。
近田くん達は要領いいから、
大きなお墓に入るかもしれないね。
でも、
どんな立派なお墓も、
ただの字の書かれた石だから。
人を幸せにはできないんだよ。
いつかは忘れられちゃうんだ。
最初のコメントを投稿しよう!