53人が本棚に入れています
本棚に追加
「……?」
着信音に瞼をあげると隣のはやたくんはまだ寝ていたので、そっと声をかけて起こす。
「はやたくん、スマホ鳴ってるみたい」
「ん……」
ゆっくり瞼があがり、その瞳に俺が映る。それがとても嬉しくて口元を緩めると優しく唇が触れた。
「誰だろう」
はやたくんが手を伸ばしてスマホを取り、表示を見て眉を顰める。そんな表情をする相手は誰だろう、と少し疑問に思いながらスマホを操作する姿を見つめる。
「はい。……うん、来たよ。うん」
身体を起こしたはやたくんが俺をちらりと見て髪を撫でてくれる。
「わかってる。喧嘩なんてしてないから。うん……うん。だからわかってるって」
俺の髪を指に絡ませて遊びながら通話をして、相手の人がなにか話しているのに「もう切るよ」と通話を切ってしまった。いいのだろうか。
「誰?」
「母さん。澄人来たかって」
「あ、俺おばさんに住所聞いたから」
額にキスが落ちてきて、俺も身体を起こそうとしたら肩を押されてまたベッドに背がつく。はやたくんは俺に覆いかぶさり、首元に顔を埋める。
「澄人と仲良くしろって電話」
「そっか……心配かけちゃった」
「そうだな」
肌をまさぐられて息が乱れてしまう。弾んだ吐息にはやたくんは笑みを深くする。
「もっと仲良くしようか」
「あ……」
腰を撫でられ、その言葉の意味を理解する。かあっと頬が熱くなり、どきどきしながらはやたくんの髪を撫でる。
「……うん。いっぱい仲良くしよう?」
「了解」
俺のすべてを味わうように、はやたくんは肌に舌を這わせて手を滑らせる。与えられる快感に仰け反り、はやたくんの髪に指をさし入れた。
END
最初のコメントを投稿しよう!