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第1話
「カモシカの首ですか」
彼女はふられた噂話に、あからさまに興味をなくした。
「そうそう。カモシカの首が、この線路に置かれてるんだって」
「はあ」
リクルートスーツを着た女性は、ニヤニヤしている。「昔、そこに塚があったらしくて」
「へえ」
「それのせいじゃないか、って言われてるらしいよ」
「ふーん」
「聞いてないし」
「オカルトとかあんまり興味ないんですよねえ」
「ええ…こんわく!」
「じゃ、また明日。ちゃんとしたネタ、持ってきてくださいね」
ぶうたれる彼女を他所に、歩き出した。踏切が鳴り、遮断機が降りる。
「カモシカ…って、なんでカモシカなんでしょ」
踏切の真ん中に、落ちているものがあった。
「私には女の人に見えるんだけどなあ…」
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