第6話

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第6話

「わ!ビクッた〜〜~」  人が浮いているのかと思った。  それは首吊り死体だった。リクルートスーツの女性は、驚きつつも考えをめぐらした。 「うーん。普通に、ケーサツに通報だよなぁ」  近くに交番はない。あるとしたら、電話ボックスだけだった。 「お金、ないし」  この地域にはよくある昔の、雑木林。近くは住宅地。  今は夜。寝静まった時間で、いきなり突撃訪問したら迷惑になるだろう。 「あ、コンビニとピザ屋がある!そこに行こう」  少し離れた場所にコンビニがある。店長に訳を話して通報してもらおう。 「よォし!」  歩きだした途端、ガサリと森で何かが動いた。即座に振り返るも何も起きていない。  また歩きだした。  ──今度は何も無かった。 「野良猫かなぁ〜〜?」  兎にも角にもコンビニに行かねば。歩きながらもふと、違和感に気づいた。何かがついてきている。 「うわああ〜…」  再び踵を返した。 「わあ!ビクッた〜〜~!!」  人が浮いているのかと思った。いや。 「う、浮いてるーーーーー!!?!」  項垂れたまま姿勢のままこちらに迫ってきている。「ななななな!?!」  走り出してあの物体から逃げるしかない。自分の足音がうるさく響く。どうしたらいいやら。 「店員さーーーーーん!!」  コンビニに直行だ! 「店員さん!どうしよう!人が浮いてます!!」 「ぎゃあああああああああ!!!」  来店して、真っ先に浴びたのは客の悲鳴だった。「何これ??貴方ぁ何したんですか!」  レジ打ちをしていた店員が驚いて後ずさりした。 「…何ってえ」 「………」 「とりあえず、降りてもらって救急車呼びましょう」 「はい」
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