2人が本棚に入れています
本棚に追加
第6話
「わ!ビクッた〜〜~」
人が浮いているのかと思った。
それは首吊り死体だった。リクルートスーツの女性は、驚きつつも考えをめぐらした。
「うーん。普通に、ケーサツに通報だよなぁ」
近くに交番はない。あるとしたら、電話ボックスだけだった。
「お金、ないし」
この地域にはよくある昔の、雑木林。近くは住宅地。
今は夜。寝静まった時間で、いきなり突撃訪問したら迷惑になるだろう。
「あ、コンビニとピザ屋がある!そこに行こう」
少し離れた場所にコンビニがある。店長に訳を話して通報してもらおう。
「よォし!」
歩きだした途端、ガサリと森で何かが動いた。即座に振り返るも何も起きていない。
また歩きだした。
──今度は何も無かった。
「野良猫かなぁ〜〜?」
兎にも角にもコンビニに行かねば。歩きながらもふと、違和感に気づいた。何かがついてきている。
「うわああ〜…」
再び踵を返した。
「わあ!ビクッた〜〜~!!」
人が浮いているのかと思った。いや。
「う、浮いてるーーーーー!!?!」
項垂れたまま姿勢のままこちらに迫ってきている。「ななななな!?!」
走り出してあの物体から逃げるしかない。自分の足音がうるさく響く。どうしたらいいやら。
「店員さーーーーーん!!」
コンビニに直行だ!
「店員さん!どうしよう!人が浮いてます!!」
「ぎゃあああああああああ!!!」
来店して、真っ先に浴びたのは客の悲鳴だった。「何これ??貴方ぁ何したんですか!」
レジ打ちをしていた店員が驚いて後ずさりした。
「…何ってえ」
「………」
「とりあえず、降りてもらって救急車呼びましょう」
「はい」
最初のコメントを投稿しよう!