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第7話
「生きるのツライなぁ…このまま、飛びおりたら楽になるかな…」
スマホを操作して、呟いた。
駅のホームで、電車を待つ。人気のない深夜の最終電車を待つ。
「最終電車で飛び降りても、すぐバレますよ」
「え…」
「こんばんわ」
平凡な、どこにもいる男性。リクルートスーツをきた、就活生だろうか。
「あ、なら…私は終活生か」
なんて、薄ら笑いを浮かべたくなるが黙って、彼を見た。
「あの、ずっと待っているんですけどぉ…終電、来ないですね…」
「はい。だって、終電は死んでしまいましたから」
「えっ?は」
「歩いて帰りましょう」
「歩くって、ここ、川の上ですよ?!」
二こ玉川駅のホームは川の上にある。吹きすさぶ風に当たりながら、遠くにある夜景に途方に暮れた。
「僕も一緒に歩きますよ。終電、こないのはキツイんで」
「えええ、家、ここから、遠いんですぅ…」
「ほら」
ホームから線路へ歩きだした彼は宙に浮いていた。「?!」
「手、かします」
差し伸べられた手を握り、ゆっくり歩き出す。真っ暗な空間に差し掛かった時──
(あ)
足元が何もなくなったように感じた。
(え、これ、しn)
リクルートスーツの男性はこちらを見ている。
笑顔だ。
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