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第8話
地面に『タ』が落ちていた。文字だ。
リクルートスーツの女性は『タ』を拾うと、ジロジロ眺めた。どう見ても文字に見えた。
「へ〜~、文字って落ちてるんだ」
なんとなくラッキーな気持ちになり、ポケットにしまう。
「食べると美味しいのかな〜?」
しばらく行くと、『ヒ』が落ちていた。
「ひ、た、ひ」
タとヒ。
「うーん、アレだな、来たな、アレ」
歩くのをやめ、しまっていた『タ』を取り出した。「くっ…好奇心を利用した…巧妙なトラップだ」
「元の場所に戻しておこ」
ザリ、と靴が何かを踏んだ。『一』だった。
「あら」
パシュッ。
頭に弾丸が貫通した。hit!
「クマを仕留めたぞ!」猟友会の人達が駆け寄ってきた。
「どーみてもヒトでしょーーーーーが!!!」
「うわ!やばい!人間撃っちまった!」
「どーします?」
「いやいや!謝れや!!」
女性はまだ『タ』と『ヒ』と『一』があるのに気がついた。「んぁ」
近くにいた猟友会のおじさんがいきなり倒れた。クマだった。「クマだ!」
仲間たちが慌てて、銃を発砲する。おじさんは顔がえぐられていた。
文字は、なかった。
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