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第9話
爆裂鬱子『人類滅亡しろクソが』
no name『そういう貴方は地球環境について考えた事はありますか?』
爆裂鬱子『うるせーカス 捨て垢で言ってくんなカス』
「ウケる」
リクルートスーツの女性にスマホ画面を覗かれ、舌打ちした。
「見んなって言ってんだろ」
「だっていつもスマホしか見てなくない?」
ポケットにスマホをしまい、歩きだした。
「どこ行くのぉ?」
「東尋坊」
「エッ!飛び降りるの!?」
「お前を突き落とすんだよ」
「こわっ」
二人で駅の近くまで来ると、深夜にしてはまばらに人がいる。居酒屋から騒がしい声がして、まだ草木も眠る丑三つ時でないのを実感した。
「本当に行くんだ?」
「まさか。東尋坊への行き方なんて知りませんし」
「だよねえ。東尋坊ってさあ、どこにあるんだろうね」
「は?──」
何か言おうとして周囲を見渡した。何かに、たくさんの何かに見つめられている。
「カス」
「…お前ら」
「カス」「カス」「カス」「カス」
姿のない、気配から声がする。「カス?!?」
「カス」
カス
カスカスカスカ
スカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカス────
「ええ?!なにこれ??」
「黙りな!!」
「「カスはお前だ」」
老若男女の罵声が四方から聞こえ、女性は防犯ブザーを鳴らした。
「どこから出したの?!それ!!」
「大丈夫ですか!」近くの交番から警察官が走ってきた。
するとにじり寄ってきた何かは消え失せ、かったるい深夜が戻ってきた。
「…大丈夫です。不審者かと思ったら、猫でした」
「怖かったあああ〜〜~」
「なら良かったのですが…交番から見えたんですが、貴方たちをたくさんの人が囲んでいるように見えたんですよ」
「ああ…たまに居るんですよね。連れていこうとするアレが」
慣れていますから、と彼女は笑った。
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