青い夏は、透明の味がした

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 その2日後、裕は叔母の手料理を大量に食べさせられて何とか回復することができた。  裕が療養している間に、事故現場の再調査が行われた。どうやら叔母が依頼してくれたらしい。 「たった今、夏希さんの遺体が発見されました」  その通知を受け、側にいた叔母は泣いていたが、裕は、涙を流すことなく「そうですか、ありがとうございました」と返事するだけだった。  心が空っぽのまま過ごした2日間。涙はもうとっくに枯れてしまった。  それでも、 ――夏希が消えて、見つかって。 俺はようやく夏希の死を受け入れることができたような気がする。 「そう言えば裕くん。夏希ちゃんの壊れたカメラ…本体はボロボロだったけど、中のデータは残っていたの」  叔母は一枚の写真を手渡してきた。  それは、薄暗い建物の隙間から僅かに覗いた青空と、うっすらと差し込む淡い光。  夏希が意図して撮ったのか、それとも事故で偶然シャッターを押したものなのか判断しにくかったが、今の裕の心を写し出しているように思えた。  もう大丈夫。前を向くよ。  何と言われようとも、あの暑い日の公園で彼女の弁当に元気づけられたこと、しょうもない話で盛り上がった夏の日々は、確かに存在したのだから。 〈おわり〉
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