→この気持ちは?

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 ドア越しに「優乃ー?」と、兄の心配そうな声が聞こえたけど、鍵をかけてベッドに倒れ込んだ。  あー、なんて可愛くない妹なんだ。  お兄ちゃんだってこんな妹にずっと手を焼いていたんだろうな。これからはほんと、自由に生きてほしい。あたしはあたしで頑張って生きていくから。  はぁ、とため息を吐き出した直後、スマホが鳴った。  着信表示は「雫」  もしかして、お兄ちゃんが雫に電話しろとでも言ったんじゃないか。そう思いながら、あたしは着信に応えた。 「……はい?」 『あ、優乃? 大丈夫?』 「……大丈夫って、なにが?」 『あ、えっと……今慎兄から連絡きて、優乃が荒れてるから話聞いてやってって』  気まずそうな雫の声に、あたしはやっぱりとまたしてもため息をつく。 「……なんでもない」 『ねぇ、優乃。今日これからデートしない?』 「……え?」 『伊吹先輩のこと優乃が誘ってよ。で、四人で遊びに行こう』 「え!? なんであたしがイブちゃんを誘わなきゃないの?」 『お願い! あたし優乃と慎兄と一緒に遊びたいの。でも、きっと三人だと優乃は嫌だろうから、伊吹先輩に来て貰えばちょうど良くない?』  ……ちょうどいい? とは? 『とりあえず、最近出来た動物ふれあいカフェとかどう?優乃ひよこ触ってみたいって言ってたことあったよね?いるよー、ふわふわのひよこ』 「……ひよこ?」 『そう、ふわふわの』 「……ふわふわ」  雫の言葉に頭の中でふわっふわの黄色い毛玉みたいなひよこが、ぴよぴよと鳴いているのを想像する。くるりと毛玉が振り返ると、愛らしいつぶらな瞳と小さなくちばしがパチクリと動く。 『ね、行こうよ』 「……行く」 『本当!? やった! じゃああたし慎兄にすぐ電話するから、優乃は伊吹先輩お願いね! あとは詳しくは慎兄から聞いてー』  ご機嫌に通話が終了して、あたしはしばらくぼうっとしてしまう。  スマホに視線を落として、しばし考える。 あれ? あたし、イブちゃんの連絡先知らないよね?  連絡先リストに男の子の名前などもちろんない。あるのは父と兄くらいだ。 「え、どうやって誘おう?」  顎に手を置いてまたまた悩み始める。と、いきなりスマホが鳴るから驚いた。  画面を見て、さらに驚く。  表示されたのは、メッセージが届いている通知。アイコンはたんぽぽ。 》優乃! デートのお誘いありがとうー♡  初めて送られてきた知らないたんぽぽのアイコン相手から、なぜかデートのワード。  もしかして……
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