→この気持ちは?

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「優乃」  名前を呼ばれて、イブちゃんに視線を上げた。 「優乃の不安、全部俺が背負うから。何度だって吹き飛ばすから、だから、これからは慎一郎と同じくらい、俺のことも信じて欲しい」  真っ直ぐに、真剣な目を向けられて、ゆっくりだった鼓動が徐々に速さを増していく。  イブちゃんは、ずっとあたしの味方でいてくれるってことなのかな。  だったらそれは、すごく嬉しいことだ。 「……うんっ」  だから、素直に頷いたのに。  何故か目の前のイブちゃんは眉を下げて泣きそうに困った顔をしている。 「……イブちゃん?」 「うぁ──! めっちゃかわいい! 優乃が笑ってくれるだけで俺マジ幸せ! 今一回すでに抱きしめちゃったけど、もっかい抱きしめても良いですか? 抱きしめさせてください!」 「え!?」 「いいよな!」 「は!?」 「大好きだ、優乃っ」  イブちゃんに今度は抱え込まれるようにすっぽりと包まれる。ぎゅうっと締め付けられてるのに腕の力が優しくて、心地いい。嫌じゃないって、なんでだろう。  イブちゃんはいつもあたしに真っ直ぐに「好き」を伝えてくれるから。だから、あたしもそれに応えなきゃって、思うのかもしれない。  あれ? でもそれって……  あたしもイブちゃんのこと……? 「あああ、マジ幸せっ。優乃が友達って言うならそれで今は我慢しとく。友達でも出来ることたくさんあるしなっ、とりあえず慎一郎達と楽しもう……ぜ?」  満足してあたしから離れたイブちゃんが、俯いて動かなくなったあたしを覗き込んでくる。  ダメだ。今のあたしの顔は見られちゃダメな気がする。  両手で頬を包み込んで、あたしはイブちゃんから顔を背けた。 「……優乃ぉ、その顔は反則でしょ?」  顔面が燃える様に熱い。まともにイブちゃんの顔が見れない。熱を覚ましたいのにどうしたら良いのかも、なんでこうなっているのかも全然分からない!  ポンっと頭に優しくイブちゃんが手を置き撫でてくる。 「そんなんされたら抱きしめるだけじゃ足りなくなるから……」  撫でられている腕に視線をあげて、イブちゃんの顔を見上げる。すると、耳まで真っ赤になっているから、あたしは驚いてしまう。  イブちゃんが、照れてる!?  もしかして、あたしも今あんな風に顔が真っ赤になっているんだろうか?  そう考えると、ますます頭に血が昇ってしまう。 「あ、あたし、部屋で準備してすぐ行くから、イブちゃん先に行ってて」  慌ててあたしは部屋のドアを開けて中に入った。パタリと閉めたドアに寄りかかると、そのままズルズルとへたり込んでしまった。  真っ直ぐなイブちゃんの気持ちが嬉しいって思ったら、途端に心臓がドキドキを増して苦しくなって……  まさかあたし、病気なのかな!? そんなわけないよね!  ため息を吐いて落ち着きを取り戻すと、あたしは部屋を出て兄とイブちゃんの所へ向かった。
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