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……いちゃいちゃ……とは?
確かにあたしも兄と雫に「いちゃいちゃしてください」とは言ったけれども。
それがなんなのかは、正直分からないんだけど。だから、あたしがイブちゃんといちゃいちゃなんて出来るはずがない。いや、しないし。
停止したはずの思考が目まぐるしく回り始めて、オーバーヒートを起こす。
「ごめん、優乃。からかうの楽しすぎ。あんまり深く考えないで」
クックッと笑いを堪えるイブちゃんは、視線を前を歩く二人に向けた。つられてあたしも、自然と兄と雫の後ろ姿を視界に映す。
「あの二人みたいにするってことだから」
「……あの二人、みたいに……」
繋がれた手、楽しそうに微笑む横顔、ハートが飛び交っていそうなくらい幸せいっぱいのオーラを纏う二人の姿。
そっか、いちゃいちゃってそう言うことなんだ。なんだ、なんか、すごく幸せそうで、あたしまで幸せな気分になれてしまう気がする。
お兄ちゃんは雫が大好きで、雫もお兄ちゃんが大好きで。だから、あの二人みたいに……
あたしとイブちゃんも?
なんだかもう違和感なく繋がれた手。ゆっくり歩く歩幅。隣を歩く美人なイブちゃんの横顔。
イブちゃんはあたしのことが大好きで、あたしもイブちゃんのことが……
そこまで考えて、あたしは一気にまた恥ずかしさのボルテージが上がってしまう。
やっぱり、あたしもイブちゃんのことが、大好き、なんだろうか?
『それは恋よ』
雫の言葉が頭の中に響く。
恋なんて十五年間生きてきてしたことがなかった。誰かを好きになるって、どう言うことなのかも分からなかった。
だけど今、あたしはドキドキしている。
イブちゃんと一緒にいられることが、嬉しいって感じてる。もしかして、これが、恋と言うものなのかな?
まだ、よく分からない。
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