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お兄ちゃんを信じられなくなった時、あたしはイブちゃんがそばにいてくれて、味方になってくれたことが、すごく嬉しかった。
だから、あたしもイブちゃんの味方でいたい。
そっと、イブちゃんの手に触れて、両手で包み込んだ。驚いた表情でこちらに顔を向けたイブちゃんに、あたしは笑いかける。
「だから、安心して」
眉が下がる。口元がキュッとしまって、イブちゃんが泣きそうに瞳を潤した。
「あたしとお兄ちゃんだけじゃないよ? 雫だって、イブちゃんのこと信じてくれるはずだよ」
キラキラと溢れることなく夕陽に照らされたイブちゃんの瞳が、微笑んだ。
「そっか、嬉しい。ありがとう」
「うん」
イブちゃんって、喧嘩は誰よりも強いのかもしれないけれど、きっと心はとても脆くて弱いんだ。
だから、天使にも、悪魔にもなれる。
これからはずっと、天使のままでいてほしいな。あたしやお兄ちゃんを、小さい頃みたいに頼ってほしい。
そして、そんなイブちゃんと、もっともっと、一緒にいたいなって、あたしは思った。
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