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帰りの支度をしていたあたしは、スマホが震えたのに気が付いて取り出した。
メッセージが届いている。
差出人は、只野?!
何度か只野からメッセージが届くことはあったけど、完全無視。返信したことは一度もない。メッセージの内容も見たことない。
だけど、表示されている言葉にあたしは思わずメッセージを開いてしまう。
》佐久間伊吹の弱点握ってる。バラされたくなかったら俺と付き合え。このことは他言するな。
思わず、スマホに釘付けになってしまう。
いや、待って。これって立派な脅しだよね?
犯罪に値するよね? イブちゃんの弱点? 俺と付き合え? 他言するな? 只野がバカだってことはもちろん知ってる。今までも幼稚な悪戯たくさんされてきたし。だけど、まさかここまでバカだなんて思わなかった。
そもそも、イブちゃんの弱点って、なに? バレたらどうなるの?
いつもなら無視してすぐにスマホはカバンの奥底に押し込むのに、イブちゃんのこととなると、なんだか気になって仕方がない。あんまりこれ以上イブちゃんのイメージを悪くしないでほしい。
そう思ったから、あたしは初めて只野のメッセージに返信してしまった。
》どう言うことなの?
すぐに、只野から着信がくるから、あたしは恐る恐るスマホを耳に当てた。
『小宮! 返信してくれるなんて嬉しすぎる!! やっぱり俺には小宮しかいない! 付き合ってくれるよな?』
「は!? 何言ってんの? あたしはただ、イブちゃんの弱点が気になったから!」
耳元に聞こえてくる只野の声に、全身が拒否反応を起こしたみたいにぞわぞわして震えだす。
『知りたいの?』
「当たり前でしょ! バラすとか何をよ!」
『じゃあさ、今から言うとこに来てよ。絶対に一人で』
「……え?」
『知りたいんでしょ? 教えるから』
不敵に笑う只野の声がまだ耳から離れていかない。あたしはカバンを肩にかけると、急いで教室を出た。
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