彼女

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『お願いだからしばらく家に来ないでくれ。』 これは最大のフラグだったようだ。 「ケーキ買ってきたよー!」  僕の彼女、立香(りっか)が家に来てしまった。 「え、えときょ、今日はちょっと部屋汚いから別の場所でもいいかな?」 「いつも汚いでしょ?」 「酷い」 「ってか別の場所ってある?まーさーか私の家?誘ってんの?」 「い、いやぁ」  顔がひきつる。 これは断るという選択肢がないようだ。 「わ、わかったからちょっとだけ待って!ね?」 「部屋の掃除?そんなんしなくてもいいのに・・・まぁいいわ10分だけね」 「あ、ありがとう」  急いで天猫のもとに向かう。 「天猫!」  天猫が驚いた顔でこっちを見てくる。 「ちょっと隠れてくれ!」 「なんで?」 「いいから!ちょっとだけだ!」 「え・・・わかった」  なんて話のわかる子なんだ。 「けどどこに?」 「え、えと・・・僕の部屋!僕の部屋に隠れて!」 「わかった・・・」  これで大丈夫だ。 「10分経ったわよー?入るわね」 「あぁ、入っていいぞ」  これで大丈夫なはずだ。 いつも通りであれば僕の部屋に行くことはない。 そう。いつも通りであれば。
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