君が笑うから。

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「そろそろ国境付近かしら?ガルムンドがどんな国なのか楽しみだわ。」 「君はガルムンドには行けない。」 ヨシュアは剣を抜いた。 「君は、ここで盗賊に襲われて命を落とす。」 「どういう・・・こと?」 フィリアは戸惑いを隠せないでいる。 「俺を選ばないで欲しかった。」 「な、何を言っているの?」 「数ヶ月後、ガルムンドで王位継承権を争う内乱が起き、君はそれに巻き込まれて死んでしまうんだ。」 ヨシュアはフィリアから目を逸らし、俯いた。 「君は、『自分は転生者』で、『あなたと一緒にいたいから』『円満な婚約解消を選んだ』と打ち明けてくれた。そして、『あなたを選ばなければ良かった』という言葉を残し、死んでいった。 そうだ。君が俺を選ばなければ、君は死なずに済んだはずだ。やり直せるものなら、やり直したい。 その願いが通じたのか、俺の時間は学院に入学する前日に巻き戻った。 出来るだけ距離を置くようにしていた。嫌われてもいいとさえ思っていた。 それなのに、君はまた俺を選んだ。 俺は、またあんな苦しくて悲しい思いをしなくてはいけないのか。それなら、せめて自分の手で・・・。」 ヨシュアは、目に涙を溢れさせながら、静かに剣を振り下ろした。 フィリアは最後の力を振り絞り、両手でヨシュアの頬を包み、笑顔で語りかける。 「『あなたを選ばなければ良かった』この続きはきっとこうよ。それでも、絶対にあなたを選んでしまうわ。だって、あなたが大好きだから。」 ヨシュアは、フィリアの体を抱きしめ泣き続けた。
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