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「フィリア=アルト侯爵令嬢。君との婚約を解消する!そして、ナタリー=チェスト嬢と正式に婚約することとなった。」
王太子・ライネル=マクワイヤの声が会場に響いた。
「理由は、フィリア嬢が、女神の恩寵を受けたナタリー嬢に執拗な嫌がらせを繰り返した挙句、亡き者にしようとしたという証言が数多く寄せられたからである。」
ナタリーに同情する声。
フィリアを非難する声。
そんなはずはない、と擁護する声。
会場中がざわつく。
「しかし!寄せられた証言は全て証拠も何もない虚偽だと判明。そもそも、フィリア嬢とナタリー嬢は親友として絆を深めており、私とナタリー嬢の仲を取り持ってくれたのだ。
この婚約破棄について、アルト侯爵からも了承を得ており、国王陛下もそれを承認している。」
ライネルとナタリーは目を合わせ、フィリアに微笑みかける。
フィリアも穏やかな表情でうなずいた。
「そして、フィリア嬢。君が希望していた隣国への留学を許可しよう。」
「ありがとうございます!」
会場内の空気は祝福ムードで明るく変わっていった。
一人を除いては。
「ガルムンド王国第二王子・ヨシュア=ガルムンド殿。」
「はい。」
「フィリア嬢をよろしく頼む。君になら安心して任せれるよ。」
「任されてください。ライネル様。」
卒業パーティーから数日後。
フィリアは留学。
ヨシュアは帰国。
二人は多くの人に見送られ、出立する。
「フィリア嬢。本当にいいのか?」
「ええ、いいのよ。元婚約者が近くにいては、二人の祝福ムードに水を差してしまうわ。」
フィリアは心から喜んでいるのだと伝わってくる。
「そうだね・・・。」
フィリアは外の景色を見るのに夢中で気付かなかった。
ヨシュアの表情が曇っていることに。
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